防災対策で安全・安心を!「ヴィンテージ・ヴィラ横浜」での居室内防災点検の結果確認を行いました
公社のこと2024.05.17
昨年の6、7月に、介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ横浜」(横浜市旭区)にて、120世帯(総戸数:326戸)の居室内防災点検を行いました。
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その居室内防災点検での結果について、今年3月25日、福祉防災研究会代表甘中さんと共同代表の秦さんにお越しいただき、今回も、居室内防災点検の取材にご協力いただいた岸野さんご夫妻のお部屋に伺いました。
前回の点検結果については、事前にお渡しし、対策していただいていました。
点検結果はわかりやすく、詳しく記載されています。
昨年7月の点検では、以下①~③を重視して、確認・助言を行いながら住宅内の点検を行いました。今回もこの3カ所を中心にご確認いただきました。
①避難動線上に障害物が飛散しないように、家具の配置や転倒防止及び開き戸のストッパー措置ができているか?
対策 → キッチンの冷蔵庫には転倒防止、収納庫にはストッパー、タンスにも転倒防止対策がされていました。
冷蔵庫は転倒防止対策としてしっかりと固定されていました。
ストッパーがあれば中のものが飛び出す心配がありません。
重いタンスもしっかり固定。
②ベッド周りの安全が確保できるように、落下物や家具の転倒防止措置ができているか?
対策 → ベッド周りも整理され、ベッド横の窓にあった荷物も整理されていました。
前回、窓の周りには荷物が置かれていましたが、今回はスッキリ!
③窓ガラスの飛散防止対策と底の厚い靴や防災スリッパの用意など、防災グッズや非常用物品(ヘルメット、防災靴、簡易トイレ、非常食や飲料水など)は備蓄できているか?
対策 → すべての窓ガラスには飛散防止シートが貼られていました。そのほかの防災グッズは前回点検時にすでにご用意されていました。
一見、何も変わってない窓ガラスに見えましたが、飛散防止フイルムが貼られていました。
秦さんから「災害時でもできるだけ平時同様の生活ができるようにしておくことが大切です。先日、能登半島の被災地を視察してきたのですが、改めて自分たちの生活は自分たちで確保することが大切だと感じました。3食が2食になることもあるかもしれませんが、できるだけ普段の生活ができるように準備したいですね。あと、絶対にケガをしないこと。普段なら病院に行けば治療してもらえますが、被災地ではそこまで医者の手が回りません。ケガをしないためにも、ご自宅の整理整頓や防災対策が大切ですね。」
甘中さんからは
「避難所で生活するよりも、自宅が安全であれば、自宅で避難できる。そういった環境を整えることは大切です。」
旦那さまの幸生さんは、今回の防災対策をしたことによって、
「今年1月1日に起きた能登半島地震の時も、かなり揺れましたが、防災・安全対策をしていたこともあり、焦ることなく過ごすことができました。安心感は人にとって大切ですね。そろそろ90歳になりますが、まだまだ元気で過ごしていたいので、防災対策のおかげで安心して生活ができています。」とお話いただきました。
1月1日に地震が起きましたが、慌てることなく対応できました。
案外、地震時には電話やその周りに置かれている書類などの軽い物が揺れて転倒する可能性があるので、対策を。
最後に、「ヴィンテージ・ヴィラ横浜」全体の点検結果について秦さんと甘中さんから、お話がありました。
今回の改善点は、避難動線の安全確保、家具の転倒防止、仏壇の落下防止。多くの入居者は仏壇を保有されています。仏壇は基本的に扉を開けて置くもので、そこには位牌、お写真や灯明、お茶、お花を飾るなど仏壇の仕様が多様であり、また、多くは古い仏壇であることから、仏壇の固定の難しさに併せて、お供え物の飛び出し対策にも難しさを感じたとのことでした。
今回の点検で、窓ガラスに対する破損・飛散防止対策としてフイルムの貼付を希望する方も多く、退去時にフイルムをはがさなければいけないのでは?原状回復をしなくてはいけないのでは?といった懸念の声がありました。その声を聴き、「ヴィンテージ・ヴィラ」では、破損・飛散防止対策フイルムの原状回復は行わなくてもよいという対応としました。
能登半島の被災地へ視察に行った秦さんと甘中さんは
「被災地に行って感じたことは、自助努力として水・食料の備蓄はもちろん不可欠ですが、特に高齢者に関しては、身体特性に合った食のメニューも必要だと感じました。アルファ米などの備蓄も大切ですが、それだけでは、高齢者の健康維持に必要な栄養バランスが取れるかが不安です。ローリングストック(普段の食品を少し多めに買い置きしておき、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つ方法)の視点でも、自分の健康維持に必要な食の備蓄を考えることも必要です。施設側の備蓄についてもカロリーなども意識した備蓄を考える必要を感じました」とお話いただきました。
食料をただ備蓄するのではなく、自分にあったものを備えておきましょう。
前回の取材では、平時から各家庭で食料・飲料水等の備蓄、家具の固定等を進め、近隣に住む方々などと協力できる関係を築いておくことが必要だとお話しされていましたが、今回は、実際の能登半島の被災地などのお話をお聞きし、普段から被災しても日常に近い生活ができるよう意識することが大切だと学びました。食材備蓄をする、長期保存食であれば大丈夫と安心するのではなく、普段から食材備蓄を食べてみて、自分や家族に合うか?食べ続けられるか?食べ慣れたものや自分や家族に適した、食べておいしいと思えるものを選んで備えることが大切だと、今回もまた気づかされました。
取材にご協力いただいた岸野さんご夫妻は点検し、実際、防災対策ができたことにとても安心感をお持ちいただき、快適な日々を送られているようです。
ただ、「点検」・「結果」で終わりではなく、今後も改善、防災対策を見直しながら、皆さまが安全・安心して暮らせる住まいを作り続けていきたいと思います。
今回取材した介護付有料老人ホーム(入居時自立)
ヴィンテージ・ヴィラ横浜
https://vintage-villa.net/yokohama/
関連サイト
安心・安全な生活を!「ヴィンテージ・ヴィラ横浜」で初の防災士による居室内防災点検を実施。(2023.07.27)
https://www.kosha33.com/life/action/post_10.php
百聞は一見にしかず!介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ横浜」のセミナー付現地見学会を取材しました(2024.03.26)
https://www.kosha33.com/life/other/post_32.php