団地活性サポーターミーティング開催レポート― 交流から生まれる、新たな仲間づくりのヒント ―
コミュニティづくり2026.03.13

今年で4回目となる「団地活性サポーターミーティング」が2月、神奈川県住宅供給公社ビル1階Kosha33シェアラウンジ(横浜市中区)で開催されました。
| 公社では、「団地活性サポーター制度」を導入し、学生が「団地活性サポーター」として団地に住みながら自治会や地域活動を行い団地コミュニティを活性化する一役を担っています |
普段はそれぞれ別の団地で活動している団地活性サポーターたちが年に1度集まって、活動紹介や意見交換を通じて交流を深め、活動を見直すきっかけとする貴重な機会です。
今年は、浦賀団地からは神奈川県立保健福祉大学の団地活性サポーター4名とOG1名、相武台団地からは北里大学1名、緑ヶ丘団地から東京工芸大学2名が参加しました。
今回のミーティングテーマは「仲間集めの方法を考えてみよう!」。
このミーティングテーマは、公社担当者が数名の学生から仲間集めの悩みを聞いたこともあり、テーマは「これだっ!」となったとのこと。
団地や学校をシャッフルして2グループに分かれ、グループワークを実施。最後に各グループが発表を行い、学びや気づきを共有しました。
ワークショップに入る前にまずは各団地の活動紹介をしてもらいました。
活動紹介
相武台団地(相模原市南区)
① 団地概要
公社賃貸住宅11棟448戸、分譲住宅82棟2,080戸、合計93棟2,528戸、約4,247人が暮らす大規模団地で、高齢化率は約50%。自治会加入率は70%と高く、ふるさとまつりや盆踊り、防犯パトロールなど地域活動が活発に行われています。
② 活動体制
相模女子大学の学生3名と北里大学の学生1名による「団地活性サポーター」が中心となり、地域と連携しながら活動しています。
③ 主な活動
- 子ども食堂(地域と協力した献立作成・弁当配布)
- 防犯パトロール(毎月実施、戸締まり・火の元の呼びかけ)
- ラジオ体操(週4回、参加者の見本として参加)
- クリスマスマーケット(学生主体のイベント運営)
世代間交流と見守り機能を兼ねた活動が特徴です。
④ 今後の展望
学生ならではの視点を活かした新たな活性化策を検討し、サポーター活動の認知拡大を目指します。
浦賀団地(横須賀市)
① 団地概要
全11棟356戸のうち277戸が入居(入居率77.8%)。入居者の平均年齢は70歳(入居者数422名)と、高齢化が進む団地で、京急本線浦賀駅から徒歩7分の立地にあり、住民同士の交流も活発です。
② 活動体制
UDKS(浦賀団地活性化サポーター)として、1〜4年生の学生16名が活動しています。
③ 主な活動
- どんぶりの会(月1回の交流食事会)」:高齢者の孤食を防ぎたいという団地活性サポーターの思いから、2019年1月に始まり、団地内の集会所で毎月1回開催される会。(参考:https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/post-67.php)
- 団地内行事への参加・運営補助
- 自治体の祭りの手伝い
- FMラジオ出演による広報活動
- 茶処うらが(OG主体の活動)
団地内外をつなぐ活動と、継続性を意識した取り組みが特徴です。
④ 今後の展望
毎月の「どんぶりの会」の開催を通じて、自然な"顔の見える関係"が生まれ、日常的に声を掛け合う関係性が構築されました。
今後は、メニューの多様化や季節イベントとの連動、学生ネットワークの拡大を通じて、より参加しやすく継続性のある活動を目指します。
緑ヶ丘団地(厚木市)
① 団地概要
1960年代竣工の団地で、賃貸住宅9棟311戸、分譲住宅2棟56戸で構成されています。高齢化率は約54.5%です。
② 活動体制
団地に居住し、東京工芸大学厚木キャンパスに通う学生が「団地活性サポーター」として6名が活動しています。団地集会所を拠点としています。定期的に開放し、住民と交流する場所「ミドリバ」の企画を中心に活動を行っています。
③ 主な活動
【定期開催】
- スマホ相談・おしゃべり会
- 野菜おすそわけ会(団地住人が栽培する野菜)
【特別企画】
- かき氷イベント
- ミドフェス&ふるさと祭り
- 公民館まつりへの参加
- クリスマス会(アロマ芳香剤づくり)
交流拠点「ミドリバ」を中心に、世代を超えた交流を生み出しています。
④ 今後の展望
2025年は各企画が例年以上に盛り上がり、住民との関係性がより深まりました。また、改修された集会所は土足のまま入ることができ、これまで以上に入りやすくなったとの声もいただいています。
引き続き、団地に根差した継続的な活動を通じて、住民の暮らしを支える存在となることを目標としています。
お互いの活動の概要を聞いた後は4人ずつに分かれてのワークショップです。
ワークショップ
団地で暮らして感じたこと
グループワークの初めはアイスブレイク。
- ①グループメンバーについて知ろう!
名前、住んでいる団地、学校/学年/専攻、趣味または最近ハマっていること、団地活性サポーターになったきっかけを話します。 - ② 今住んでいる団地について感じていること
住んでみて感じた良い点や、住む前と住んだ後の印象の違いなど。 - ③ サポーター活動の特徴
サポーターになって得られた学びや良かったこと。
➀~③を話し合いお互いのことや団地のこと、団地での活動などを共有するしてから、本題の「仲間を増やすアイデア」を考えます。
仲間を増やすためのツール、発信する内容、工夫できそうなことなど、それぞれの意見を模造紙に書き出し、団地や学校、学部ごとの多様な視点が共有されました。
グループワーク「仲間集めの方法を考えよう」
今回のメインテーマは、活動を広げるための"仲間づくり"。各グループから「仲間集めの方法」について、さまざまな提案が出ました。公社としてもとても勉強になる提案でした。
高校生・入学予定者へのアプローチ
- 大学ホームページへの掲載
- オープンキャンパスでの紹介
- 入学前書類へのチラシ同封
- SNSでの活動発信
- 実際の部屋や生活風景を写真で紹介
団地活性サポーターの予備軍へのアプローチ。「団地ってどんな場所?」という不安を払拭するため、家賃や地域交流など具体的な生活イメージを伝えることが重要だという意見が出ました。
学校・教職員との連携
- 教員への活動内容の共有
- ボランティアセンターとの連携
- 学内広報の強化
学校や教職員の間でも団地活性サポーターの活動や取り組みを知らない人もいるとのこと。学校内でのアプローチが必要だと感じているとのこと。
団地内外への発信
- 住民にも"仲間"として情報を届ける
- イベント参加者を次の担い手へつなげる
- 活動の楽しさややりがいをリアルな声で発信する
「実際に活動している学生の声が一番説得力がある」という点が学生同士の共通認識となりました。
参加した学生たちからは、
「他団地の活動が知れて参考になった」
「新しいアイデアを得られた」
「モチベーションが上がった」
といった声が寄せられました。
普段はそれぞれの団地で活動しているサポーター同士。
「どの団地も同じような課題を抱えていることが分かった」という気づきもあり、横のつながりの大切さを改めて実感する場となりました。
今回の交流を通して浮かび上がったのは、どの団地でも"人数不足"が共通の課題であること。「仲間をどう増やすか」「どう活動を広げていくか」これは今後も大きなテーマになりそうです。その一方で、「義務ではなく、楽しむことが大事」という前向きな声もありました。
活動を続けるためには、"楽しさ"と"つながり"が原動力になることを改めて感じさせられました。
エピローグ
公社から ― 安心・成長・発信がつなぐ、団地活動のこれから ―
ミーティングの最後に、公社職員から参加者たちにメッセージを送りました。
セキュリティへの意識と安心感
団地への入居を決めるのに、現代のオートロック付き物件と比較され、セキュリティ面を心配する声もあります。保護者の方から本当に大丈夫なのかという問い合わせがあったり、実際に現地を内覧にいらしてくれても入居を見送られる方もいるのですが、皆さんどう感じていますか?
実際に暮らしている学生からは、
- 住んでみると不安はなくなった
- 自衛意識を持つことは大切だと感じている
- 日々の生活の中で安心感が積み重なっている
といった声が聞かれ、一安心。
制度を作った公社として「親御さんからお預かりしているという意識で見守っている」「何か起きてからでは遅い」と安全面への配慮と日常的な声かけの大切さをお話し、セキュリティは設備だけでなく、地域の目や関係性による安心も大きな要素だと学生に説明しました。
団地生活が育む"見えない力"
団地でさまざまな方と触れ合う暮らしや活動は、学生の成長にもつながっています。地域活動や住民との交流を通じて、「コミュニケーション力」「相手の立場を考える力」「実践的な対話力」といった力が自然と身についていると思います。過去の先輩方もそうでした。団地での経験が"学校では学べない力"を育てているのではないかと思います。
情報発信が仲間を広げる
情報発信の重要性について、
- 団地での暮らしや活動を、もっと自信をもって外に伝えてほしい
- 楽しかったこと、嬉しかったことを積極的に周りに共有してほしい
友人を部屋に招いたり、自分たちの活動を語ったりすること自体が、大きな発信である説明し、また、「仲間」とは活性サポーターだけでなく、「応援してくれる住民」や「イベント参加者」、「卒業後も関わり続ける元サポーター」も含まれます。
活動の魅力や実感を自分たちの言葉で発信することが、新たな仲間づくりにつながり、活動をより"太く、強く"していって欲しいと思います。
団地活性サポーターによる活動の持続と発展に期待が込められた総評となりました。
団地での暮らしは、単なる住まいだけではなく、学びと挑戦の場でもあります。
その価値をどう感じ、どう伝え、どう広げていくか。
今後の活動への期待を込めたメッセージとなりました。
交流から生まれる広がり
今回の交流会は、サポーター同士がつながり、刺激を受け、次の一歩を考える時間となりました。
住民との出会い、学生同士の学び合いと活動への創意工夫、そして情報発信による新たな仲間づくり。
それぞれの団地で取り組みは異なりますが、「地域と関わりながら成長する」という共通点があります。
各グループで出たアイデアや会話の中にあるヒントは、それぞれの団地へ持ち帰り、実践へとつながっていくことでしょう。
今後の広がりにも、ぜひご注目ください。
関連サイト
公社の大学との取り組み:大学との連携|神奈川県住宅供給公社
公社の賃貸ブログ:大学と連携した取り組みの記事一覧
Kosha33ブログ:大学と連携した取り組みの記事一覧