神奈川県住宅供給公社の大学連携「団地と大学、地域をつなぐプロジェクト」相武台団地(相模原市南区)×相模女子大学・相模女子大学短期大学部〜団地を核にした地域おこし〜
コミュニティづくり2024.09.30
団地と大学、地域をつなぐプロジェクト
相武台団地(相模原市南区)×相模女子大学・相模女子大学短期大学部〜団地を核にした地域おこし〜
神奈川県住宅供給公社では神奈川県内にキャンパスを持つ大学と連携、大学ごとの専門性を活かしながら、若い担い手と地域の方々との連携による新たな取り組みが、いま始まっています。
相武台団地(相模原市南区)×相模女子大学・相模女子大学短期大学部〜団地を核にした地域おこし〜
大学連携紹介動画(https://youtu.be/7HksaRrO5yI)
神奈川県のほぼ中央に位置する相模原市の相武台団地は1960年代後半に開発されました。およそ31.4haの敷地に、分譲住宅が82棟、賃貸住宅が11棟ある大型団地では近年、住民の高齢化が課題となっていました。
神奈川県住宅供給公社は「団地再生」を行うこと決め、2013年にその皮切りとしてクリニックや訪問介護などが入るサービス付き高齢者向け住宅「コンチェラート相武台」をオープン。2015年には団地の商店街の方々とタッグを組む、グリーンラウンジ・プロジェクトを開始。2019年には銀行跡地を活用した多世代交流拠点「ユソーレ相武台」をオープン。商店街の中心にあるけやき広場も整備し、かつての団地の活気を取り戻すため、様々な取組みを行っています。


「ユソーレ相武台」入口へのスロープを設置(写真1枚目:改修前の銀行跡地、写真2枚目:改修後

グリーンラウンジ・プロジェクトの由来は、商店街前の広場に樹齢50年以上の大きなケヤキがあり、この「ケヤキ=緑」と「広場=くつろぐ場」をシンボルとしたことによる。この広場では、定期的にさまざまなイベントが開催されていて、地域住民の交流の場となっている。
相武台団地の取り組みでは、様々なパートナーとの連携が特徴です。団地から約3.5キロの距離にキャンパスがある相模女子大学・相模女子短期大学部もそのひとつ。 大学が有する人間社会学等の専門知識を活用し、団地内にある商店街等との地域連携や、学生が実際に団地に居住することで地域コミュニティの活性化を目指し2019年12月に連携協定を締結。団地内にある商店街や地域住民、居住者との連携で地域コミュニティを盛り上げています。
地域のボランティアの方々と一緒に月1回開催される『ひよここども食堂』で販売するお弁当の調理を手伝う学生たち。コミュニケーションをとりながら、準備を進めていきます。
ここで活動しているのが、団地活性サポーター(※)。学生が公社の団地に居住しながら、自治会や地域活動にも協力することで地域コミュニティの活性化を目指しています。
大学が公社と連携する意義を相模女子大学社会マネジメント学科の松崎准教授にお聞きしました。
「地域活動に参加した学生からは『自分たちが地域に何ができるかということを、これまで考えてこなかったし、あまりできるとも思ってなかった。ただ、地域に出ていろんな方たちと出会っていろいろ教えてもらうこともあったし、自分たちが何かやることで地域の役に立っていることも実感できた。』と感じることができたようです。小さな機会でも何かあれば自分から率先して関わっていける。そして、自分自身の人生も地域のことも豊かにしていけるようになってもらいたいと思っています。」
団地活性サポーター活動に参加している学生からは次のようなコメントがありました。
「『ひよここども食堂』では、子どもたちがみんな笑顔でお弁当を食べてくれるのでうれしいです。」
「地域の人たちとつながりを持つことで、たくさん顔を知ってもらえると声をかけてもらえることが多くなりました。」
毎月行われているこども食堂の活動は、団地内だけでなく、地域に住む様々な世代の人達が集まり、商店街に活気をもたらしています。
7月、相武台団地連合自治会が主催する恒例の夏祭りが開催されました。
相模女子大学の団地活性サポーターは『わたがしブース』を出店、これは自治会からの要望で実現しました。公社職員と一緒にわたがしづくりの準備を始めます。
相模女子大の団地活性サポーターが夏祭りに参加した経緯を公社の一ツ谷さんにお聞きしました。
「去年、団地の連合自治会の皆さんと夏祭りを開催させていただいた時に、連合自治会で綿菓子のブースを出店していて、そこに学生がお手伝いをしていました。その時の頑張りを認めてもらい、今年は学生の皆さんにブースを出店してほしいと声をかけていただきました。こして、今日は一生懸命頑張ってもらっています。」
参加した学生は
「地域の方と直接かかわることを初めて体験しました。地域の方とコミュニケーションが取れるということが自分の強みになったと思います。団地の方々の温かさを直接感じることができました。」
相武台団地の夏祭りは団地の入居者だけでなく、近隣からも多くの人が訪れる相武台団地最大のイベント。子どもたちのダンスや盆踊りが行われ、賑わいを見せています。
こども食堂やお祭りなど、こうした活動により、入居者や近隣の人たちと顔見知りになることで、地域の子どもたちやお年寄りの見守りや居場所づくりにも活気が出てきています。
学生にとっても多世代との交流や地域課題の解決を担う団地活性サポーターの活動は貴重な体験や学びの場となっています。
団地活性サポーターの活動について学生にお話しをお聞きしました。
「団地活性サポーターをやっていると自分に利がなくても、笑顔とか「ありがとう」という言葉をもらうとうれしくなって、そういうことをうれしく思う自分の新たな一面にも驚きました。だったら、そういった言葉をかけられるような職業に就きたいと感じるようになりました」
団地を核にした地域コミュニティの盛り上がり、公社と相模女子大学・相模女子短期大学部の連携はどのような効果をもたらしているのでしょうか。
大学との連携がもたらした効果と今後の団地のビジョンを公社の一ツ谷さんにお聞きしました。
「高校を卒業して大学1年生で団地活性サポーターとして団地に入居してくるのですが、最初は少し緊張して地域に馴染むのが大変だったと思います。そこに公社も一緒に伴走しながら共に活動していると、だんだんと学生たちが自立して、今回の夏祭りのようなイベントでの姿も非常にいい光景が生まれていると感じます。そういった学生たちの姿を団地や地域の皆さんも感じてくれていただいているというのが、うれしいです。団地と一言で言ってもその団地の住民の皆さんだけが団地で活躍しているということではなくて、団地の住民のみなさんと一緒に地域と共に作り上げていくというのが、これからの団地のビジョンだと思います。団地そのものだけでは難しい局面も超少子高齢化の中で出てきていると思います。そういう意味でも地域と一緒に地域で活動している方々と一緒に団地全体、地域全体を盛り上げていくことが必要になると思います。」
団地商店街のけやき広場に集まる地域の方たちと、学生の交流が生み出す新たなつながり。
地域と団地活性サポーターのこれからの活躍に期待が寄せられています。
<注>本記事は2021年から2023年にかけて取材を行ったものです。
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関連サイト
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https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/hawaiianfestival2024.php
大学生が団地を盛り上げる!「第2回 団地活性サポーターミーティング」をユソーレ相武台で開催しました!(2024.04.19)
https://www.kosha33.com/life/action/supporter2.php
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https://www.kousha-chintai.com/danchi-intro/sagamihara/K119662000.php