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神奈川県住宅供給公社の大学連携「団地と大学、地域をつなぐプロジェクト」浦賀団地(横須賀市)×神奈川県立保健福祉大学〜学生の活躍で健康をサポート〜
2024.07.31
団地と大学、地域をつなぐプロジェクト
浦賀団地(横須賀市)×神奈川県立保健福祉大学〜学生の活躍で健康をサポート〜
神奈川県住宅供給公社では神奈川県内にキャンパスを持つ大学と連携、大学ごとの専門性を活かしながら、若い担い手と地域の方々との連携による新たな取り組みが、いま始まっています。
団地と大学、地域をつなぐプロジェクト
浦賀団地(横須賀市)×県立保健福祉大学〜学生の活躍で健康をサポート〜
大学連携紹介動画(https://youtu.be/E0dBZS_Iwms)
かつて造船で活躍した旧浦賀ドックを見下ろす丘の上にある横須賀市の浦賀団地は1970年に竣工しました。
11棟、総戸数356戸の賃貸住宅です。住民の高齢化が進むにつれて、自治会などによる住民参加イベントが減ってきていましたが、団地に入居した大学生が企画するイベントなどにより、住民の交流の機会を増やしています。
神奈川県住宅供給公社は、2016年4月に神奈川県立保健福祉大学と連携協定を締結。公社が運営する高齢者住宅等における食の共同研究などの連携に加え、学生に浦賀団地に住んでもらい、地域や自治会活動に参加するなど、団地コミュニティを活性化する役割を担う『団地活性サポーター制度』を導入しました。
当初は公社のスタッフのサポートも必要でしたが、現在は学生が主体となって活動内容を企画運営するようになりました。
この日は浦賀団地の集会所で、団地に住む高齢者を対象とした認知症予防セミナーが、団地活性サポーターの主催で行われました。
2022年11月に開催した、入居者向けイベント「浦賀団地活性サポーターによる~認知症予防セミナー~」
このセミナーでは、手足を動かしながらしりとりをするなど、運動と認知課題を組み合わせた『コグニサイズ』と呼ばれる取り組みが行われました。
※コグニサイズ...国立長寿医療研究センターが開発した、ウォーキングなどの軽い運動をしながら計算やしりとりなど頭の体操をする認知症予防運動
学生の掛け声に買わせて、みんなで体を動かします。
地域ケアや福祉についての教育を受けている県立保健福祉大学の専門分野を活かしながら、学生はどのようにすれば楽しく情報を伝えられるか、団地活性サポーターのみんなで創意工夫してイベントを企画します。
学生にとっては大学で学んだことをアウトプットしたり、実践したりする場所となります。
一方、住民はクイズや体操の実践をしながら認知症予防についての知識を身に付けていきます。高齢者と学生の離れた世代との交流もこの場ならではのものです。
この企画を主催した学生に感想を話を聞いてみました。
「認知セミナーを開催して、一緒にお話をしていく中で、すごく熱心に話を聞いてくれる方が多くてうれしかったです。」
「元気をもらったと言ってくださる方や、優しく接してくれる方がとても多かったです。緊張していたのですが、その優しさのおかげで、安心してふれあうことができました」
「大学で、地域福祉が重要だと学んでいます。その地域福祉の一端を団地で学生が担うことができるのは、すごく素晴らしいことだと感じています」
一方、参加した住民の方々は「介護予防セミナー」が役に立ち、学生達と触れ合うことで元気をもらっているようです。
「若さをいただくような感じがします」
「人とのコミュニケーションを図る上でも、このようなセミナーを開催してくれることをとても希望しています」
「介護予防などに関して興味がありました。自分がこれからどういう風に生活していけばいいのか、わかっただけでも来てよかったです」
お互いに得るものがあったようです。
「介護予防セミナー」以外にも、高齢者の孤食を防ぎたいという団地活性サポーターの思いから、2019年1月より団地集会所での食事会を企画し、原則として毎月1回開催しています。
『どんぶりの会』と名付けられたこの企画は、メニューの考案から買い出し、調理、会場のセッティングや受付など、サポーターが全て行います。この会では食を通して、学生と住民、また住民同士のコミュニケーションを深めていきます。
何回か開催するうちに、料理の手際もよくなりました
さっぱりとしたネギ塩ダレ鶏肉丼
この日のメニューはネギ塩ダレ鶏肉丼です。入り口ではアレルギーの有無なども確認します。
高齢者の参加者が多いため、塩分をとりすぎないよう味つけにも気を配っています。
団地内食堂ともいえるこの活動では、学生が高齢者の方を支援することの楽しさとやりがい、また、高齢者も一緒に食事をする楽しさを自然に感じ、お互いの相乗効果により団地内に活気が蘇っています。
この会をきっかけに知り合って、地域との交流が始まった方もいるそうです。
※「どんぶりの会」はお持ち帰りを希望される方にも対応しています。
どんぶりの会に参加した住民の方に感想をお聞きしました。
「学生のかたが、よくやってくれていて、楽しみでもあります」
「いろんな交流ができていいですね」
「これが楽しみで集会所に食べにきています」
「団地でも高齢化が進んでいます。孤立させないようにこういう会はいい企画だと思います」
皆さん「どんぶりの会」を楽しみにしているようです。
高齢者の孤食を防ぎたいという視点で始まった『どんぶりの会』。最近では、高齢者だけではなく、子どもたちも参加していて、多世代が交流する場面も見られます。
住民の方とも顔なじみです
学生に活動を通して学んだことを聞いてみました。
「幅広い交流ができていると感じます」
「大学で医療などを学んていますが、実際、高齢者の方とふれあい、ここでの知識など必要なことを捉えた上で、大学で学び直すといった良い循環ができていると思います」
団地の高齢者だけではなく、子どもや親子連れも参加している
2017年にここ、浦賀団地で始まった大学生による団地活性サポーター制度は、対象の団地・大学が増え、現在は3団地で4つの大学の学生がサポーターとして活躍しています。この大学連携の取り組みについて、公社の水上さんにお聞きしました。
「いろんな分野の大学の学生たちと連携しています。いろんな大学と連携できているのは、「住まい」を舞台にしているからと考えます。福祉や栄養、社会学、建築と学生が学んだことを活かせたり、考えたりできるステージなのだと思います。」
学生たちの団地での暮らしを見て成長を感じます
大学の専門分野を活かしながら活動する、浦賀団地での団地活性サポーターの取り組み。
団地に住む高齢者と学生との幸せな関係が生むコミュニティのつながりが、全国に広がる地域課題の解決のヒントとして、今注目を集めています。
<注>本記事は2016年から2023年にかけて取材を行ったものです。
関連サイト
大学生が団地を盛り上げる!「第2回 団地活性サポーターミーティング」をユソーレ相武台で開催しました!(2024.04.19)
https://www.kosha33.com/life/action/supporter2.php
入居者向けイベント「浦賀団地活性サポーターによる~認知症予防セミナー~」開催(2022.11.28)
https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/post-16.php
団地住民の交流の場!浦賀団地「どんぶりの会」団地活性サポーター主催で開催!(2023.10.05)
https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/post-41.php
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学生が活躍する「浦賀団地」
https://www.kousha-chintai.com/danchi-intro/other/K119685000.php