小学生と高齢者がオンラインでつながる!ヴィンテージ・ヴィラ向ヶ丘遊園 × 稲田小学校 総合授業レポート
コミュニティづくり2025.07.22
5月、川崎市多摩区にある介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ向ヶ丘遊園(以下、VV向ヶ丘遊園)」のダイニングに、元気な声が響いていました。
画面の向こうには、地元稲田小学校の4年生のみなさん。この日はVV向ヶ丘遊園と稲田小学校をつないだオンライン授業の日です。
授業のテーマは「福祉」 思いやりを育む学び
稲田小学校では、4年生の「総合的な学習の時間」で"福祉"をテーマに学んでいます。
学校内でも低学年の「してもらう」立場から、「してあげる」立場へと変化していくタイミング。
「思いやりの心で人と接する」視点で、高齢者との関わり学ぶという想いから、VV向ヶ丘遊園へ講師の依頼をいただいたのが、交流の始まりでした。初めての開催は2021年1月。それ以降、毎年実施していて、今では4クラスすべてがオンラインで参加する恒例行事に。
最初は、小学生に訪ねてきてもらう計画でしたが、感染症対策として、オンライン形式が定着しています。
いよいよ開始!VV向ヶ丘遊園の朝はいつもより少しにぎやか
朝食の賑わいが落ち着いたダイニングには5名のご入居者が集まっていました。
タブレットの画面越しに小学生たちと話す前に、今日の授業の流れとお願いごとを今日の進行役をつとめるVV向ヶ丘遊園の朝山副支配人が伝えます。「ここの説明をした後は、皆さんひとりずつ、小学生からの質問に答えていただきます。皆さん、よろしくお願いしますね!」
授業開始の9時半。ついに稲田小学校と接続!VV向ヶ丘遊園の"校長先生"的存在・岩元支配人が
「今日を楽しみにしていました。高齢者施設がどうして必要なのか、知ってもらえたら嬉しいです。わからないことがあれば、なんでも聞いてくださいね!」と、ご挨拶。
オンラインならでは!VV向ヶ丘遊園ツアー
授業のはじめは、オンラインの強みを活かして館内ツアーを実施!館内の様子をリアルタイムで紹介していきました。
「中庭の池には、鴨の親子がのんびりしていますよ。ヒナは今月生まれたばかりです」
「施設の中にはプールも併設しています」
「入居者の皆さんは詩吟や体操など、この多目的ホールで楽しんでいます」
普段なかなか見ることのない高齢者施設の内部に、小学生の皆さんはしっかりと目と耳を傾けてくれていました。
ヴィンテージ・ヴィラってどんなところ?
ツアーの後は、進行役の朝山副支配人がVV向ヶ丘遊園について説明します。
これまでの授業の経験から、「老人ホーム」と言えば、介護が必要な高齢者が入居する特別養護老人ホーム(特養)のイメージを持つ子も多かったので、
- 元気に毎日を過ごしながら、将来介護が必要になったときの備えもできる住まいであること
- 運動、趣味やイベントなど入居者が楽しめる工夫がつまった老人ホームであること
- 入居者の部屋の広さやスタッフの人数
など、子どもたちが理解しやすいように、やさしい言葉で紹介していきます。
実はVVスタッフ、「元気な高齢者が暮らしている施設だと、子どもたちにイメージが伝わるかな?」「どうしたら、わかりやすく説明できるだろう?」と、毎年悩んで試行錯誤しながら工夫を重ねています。
小学生からの質問タイム!
いよいよ子どもたちから入居者への質問タイムです。その場で出た素朴な疑問に、入居者が答えていきます。
「1日の中で楽しい時間は?」
「最近、麻雀を始めました。友達もできて、楽しいですよ」
麻雀は脳トレにもなる、高齢者の方々に人気のテーブルゲーム。みなさん生き生きと楽しんでいます。
「生活で大変なことはありますか?」
「スタッフの皆さんがサポートしてくれるので、特に困っていることはありませんよ」
VVは24時間体制でスタッフが常駐しており、安心して過ごせる環境が整っています。
「1日のスケジュールは?」
「朝8時にダイニングでみんなと一緒に朝ごはんを食べます。その後はプールに行ったり、ビリヤードをしたり、詩吟や体操、同好会もあって月に1回は飲み会もあるんです。近くに畑も借りて、スイカやメロン、トマトも育てています。毎日1万歩くらい歩いてますよ。1週間があっという間に終わっちゃうくらい、忙しいです(笑)」
とても元気でアクティブな生活に、子どもたちも(広報担当者も)びっくり!
「歳をとって良かったことはありますか?」
「現役時代は銀行員で、70歳まで忙しかった。でも今は自由な時間ができて、趣味を楽しめるようになりました。昔住んでいたパリやシカゴに旅行して、古い友人に会いに行ったり、フランス語の本を読んだり歳を重ねて、いいことがたくさんありましたよ。」
年齢を重ねてからこそ味わえる楽しみやゆとり。入居者さんのお顔からも、毎日楽しく過ごしているのが伝わってきます。
「なにか手伝ってほしいことはありますか?」
「手伝いというより、お願いがあります。
道で高齢の人を見かけたら、『こんにちは』『おはようございます』って声をかけてほしいです。若い方と話す機会はあまりないので、声をかけてもらう、というのはとても嬉しいのです。」
この回答に、スタッフもご入居者も「良い答えだなぁ」と感動の声!この場所は元気な方ばかりが住んでいるけれど、若い方とのコミュニケーションはやっぱり元気の源になりますよね。
最後は子どもたちから感想で締めくくり
授業の終わりには、子どもたちが画面越しに感想を伝えてくれました。
「思っていたより、みなさん元気でびっくりしました」
「趣味をたくさん楽しんでいて、素敵だなと思いました」
「老人ホームに住む人は大変なことが多いと思ってたけど、自分でなんでもできる人ばかりと聞いて驚きました」
最後は、各クラスの先生たちがクラス全体を映してくれました。元気そうな小学生たちに、ご入居者も、スタッフも、にこにこと笑みがこぼれました。
入居者さんたちの感想も聞きました!
「子どもたちから元気をもらいました」
「短い時間なのに、よく理解してくれたなぁ。今の小学生は社会勉強をするのかと感心するやらびっくりするやら。」
「小学生の質問にどう答えるか難しかったけど、"今の楽しさ"を伝えられたかなと思うよ。」
「コロナをきっかけに地域と疎遠になってしまったけど、リモートならまたつながれるのが嬉しいね。」
参加してくださった入居者さんにとって楽しい時間になったようで、何よりです!
つながりはこれからも
授業のあとには、毎年、小学生たちから心のこもったお礼の手紙が届くそうです。これまでに届いた手紙を大切に保管していて、入居者のみなさんにとっても毎年の楽しみになっています。
高齢者施設と小学校。年齢も環境も違う人たちが、画面を通してつながった、素敵な時間でした。
稲田小学校の皆さん、ありがとうございました!学びはあったでしょうか?
オンライン授業にご協力いただいた入居者の皆さん、ありがとうございました!皆さんのお顔を見ると、楽しい時間となっていたようで何よりです!