神奈川県住宅供給公社の大学連携「団地と大学、地域をつなぐプロジェクト」相武台団地(相模原市南区)×北里大学〜健康寿命延伸への取り組み〜
コミュニティづくり2024.11.29
団地と大学、地域をつなぐプロジェクト
相武台団地(相模原市南区)×北里大学〜健康寿命延伸への取り組み〜
神奈川県住宅供給公社では神奈川県内にキャンパスを持つ大学と連携、大学ごとの専門性を活かしながら、若い担い手と地域の方々との連携による新たな取り組みが、いま始まっています。
団地と大学、地域をつなぐプロジェクト
相武台団地(相模原市南区)×北里大学〜健康寿命延伸への取り組み〜
大学連携紹介動画(https://youtu.be/3PN7A9UJC3U)
相模原市の相武台団地は1960年代に神奈川県住宅供給公社が開発しました。
分譲住宅82棟、賃貸住宅11棟、約2500世帯が暮らす大型団地で、当初はファミリー層が主体で子どもたちの声があふれる団地でした。
年数が経ち、住民は高齢化、ファミリー層が減少したことにより、商店街の空き区画増加や、団地のイベント縮小など、複合的な課題が生まれていました
かつてあった団地の活気を取り戻すために・・・
公社は、2015年から団地の共用空間を活用して、商店街の方々と協力しながら入居者と地域の人々をつなげる、グリーンラウンジ・プロジェクトをはじめました。
(グリーンラウンジ・プロジェクト:団地の【共有空間】と【商店街の空き店舗】の2つの空間を活用しながら地域の魅力を発信 入居者と地域の人々をつなげるプロジェクト)
この取り組みでは、朝のラジオ体操や子ども食堂の活動など地域コミュニティを活性化するための幅広い活動を行っています。
プロジェクトの一環で作られた多世代交流拠点、ユソーレ相武台
こちらのオープンスペースでは、公社と北里大学、一般財団法人シニアライフ振興財団が、『大人の体力測定会』を行っています。
『足腰人間ドック』と名付けられたこの取り組みは団地の入居者や周辺住民の健康寿命延伸のために企画され、相武台地域包括支援センターの協力を得て、月2回、無料で開催しています。
2021年10月に公社と北里大学、シニアライフ振興財団は連携協定を締結。このように三者が一体となって、高齢者などが住みやすい、活力のある地域社会づくりに取り組んでいます。
ニュースリリース|神奈川県住宅供給公社 (kanagawa-jk.or.jp)
日ごろから地元で健康や生活の安定のための相談を受けたり、援助を行ったりしている相武台地域包括支援センターの小山仁さんに、地域と大学、公社が連携する意義についてお話を伺いました。
「相武台地域包括支援センターでは、高齢者の方から個々の健康などの相談を受けていますが、そこに大学が加わることで専門的な知識や講義をしてもらったり、助言をもらったりできるようになりました。また、この地域の相武台団地を造ってきた神奈川県住宅供給公社とも地域の課題を共有していますが、その課題について、それぞれの視点で関わることができるのは強みだと思います」
この日参加したのは、相武台団地や周辺地域に住む15名の方たち。体重や筋肉量など体に関するデータや、歩行テストや起立テストなどで足腰の力も測定しました。
相武台団地はエレベーターがない団地のため、階段を昇り降りするための脚力を定期的に知ることが、入居者にとっても大事です。
この検査では毎回の測定結果を数値化し、いつまでも元気に歩くことのできるよう、筋力などの改善方法を提供しています。
イベントの中心を担う学生と高齢者との交流を通じて、コミュニティの活性化ももたらされています。
参加している学生に話を聞いてみました。
「参加者の方もすごく楽しそうで、測定する方も楽しそうにやってくれていて、自分も楽しくできています。今まであまり交流していなかった方たちが出会える場でもあると思うので、こういった取り組みがもっと拡大していって欲しいと思います」
「自分が過ごした地域で、最後まで健康に暮らしていけるのは、本人たちにとっての喜びだと思います。こういった活動で健康が増進されるなら、どんどん発展していけばいいなと思います」
学生たちもやりがいを感じているようです。
参加者の方にもお話を聞いてみました。
「ペットボトルのキャップを開ける握力が足りていないのがわかりました。学生さんが握力測定をやるときに『がんばって!がんばって!』と言ってくれるので、もうちょとやらなきゃ!という励みになりました」
学生の声で頑張れているようです。
超高齢社会の現代、公社は地域住民の健康にどのような役割を果たしていけるのでしょうか。
神奈川県住宅供給公社高齢者事業部の一ツ谷さんに公社が大学・地域との連携に至った経緯をお聞きしました。
「公社は住宅を造ることやコミュニティ形成などは取り組んでいるが、地域の方の体力をどう維持していけるか、住民の方に気づきを与えることなどは、公社では難しいです。そこで北里大学のプロの知見を借りながら一緒に取り組んでいく、また、地域では地域包括支援センターが地域のニーズを知っているので、三者で連携を図りながら公社はそれをバックアップして取り組みを進めていくことになりました」
北里大学の上出准教授は団地と学生の連携による効果について、こう語ります
「北里大学は、研究だけではなく教育機関でもあるので、学生への教育を考えると、こういった取り組みに学生が参加することで、専門職になったときにどういう事が重要なのか、どういう取り組みをしなければならないのか、などが体験できる学習であり、教育の意味としてもこういった場所があることにメリットを感じています」
学生も自分たちが地域に出る機会や場所を大切に感じているようです。
「高齢者の方々の元気な姿を見るとこちらも元気をもらえます。今後も全国にこういった取り組みが広がっていけばいいなと思います。」
団地住民の平均年齢が60歳を超える相武台団地で、続いている取り組み。
この測定会では、体力的な健康寿命延伸だけでなく、和気あいあいとした雰囲気の中、世代を超えたつながりが生む、団地暮らしでの心の健康寿命延伸とも言える、コミュニティの新しい可能性が広がっています。
<注>本記事は2021年に取材を行ったものです。
●関連動画
神奈川県住宅供給公社"みらいへのプロジェクト"多世代が集う交流拠点「相武台団地」
「100歳まで歩ける」を目指して、大人の体力測定会(tvk 「NEWS ハーバー」12月17日(金)放送)
●関連サイト
大学生が団地を盛り上げる!「第2回 団地活性サポーターミーティング」をユソーレ相武台で開催しました!(2024.04.19)
https://www.kosha33.com/life/action/supporter2.php
ステップアッププロジェクトの『足腰人間ドック』で目指そう!健康長寿!(2023.10.27)
https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/post-42.php
産学官協働の健康まちづくり「ステップアッププロジェクト」が 『第12回健康寿命をのばそう!アワード』で「厚生労働大臣 優秀賞」 を受賞しました(2023.12.06)
https://www.kanagawa-jk.or.jp/news/?id=1487
・70th記念企画「Life Field 皆様からの声」
"ここでカフェをするのが運命、カルチャーに触れる場をつくる"佐竹輝子(2020.10.30掲載)
https://www.kosha33.com/kjk70th/voice/post-7.php
"ふるさとの思い出となる行事を絶やさないよう、繋いでいく"奥野智(2020.10.30掲載)
https://www.kosha33.com/kjk70th/voice/post-8.php
・STAFF VOICE 職員の声
"チャレンジする気持ちに、エールを送ってくれる会社」"鈴木航(2020.10.30掲載)
https://www.kanagawa-jk.or.jp/recruit/introduction/details.asp?id=17
【動画あり】「団地・地域のコミュニティづくり」一ツ谷正範(2022.06.15掲載)
https://www.kanagawa-jk.or.jp/recruit/introduction/details.asp?id=33
●公社の賃貸
シンボルツリーにみんなが集う「相武台団地」
https://www.kousha-chintai.com/danchi-intro/sagamihara/K119662000.php