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持続可能な神奈川の住まい・まちづくりを考えるセミナーで「横浜若葉台」団地再生の取り組みを紹介しました

2024.03.12

2月21日(水)、一般社団法人 神奈川県建築士事務所協会 横浜支部が主催する、「持続可能な神奈川の住まい・まちづくりを考えるセミナー」が開催されました。近年、進行する人口減少や少子高齢化に対応し、それぞれの地域特性に即した持続可能なまちづくりが求められています。このセミナーは、各地域で試行錯誤されている住まいづくり、まちづくりの成功事例や課題の共有を通じて知見を深め、今後の神奈川のまちづくりの方向性を考えようと企画され、建築士やテーマに興味を持った方々が参加されました。

今回のセミナーでは、横浜若葉台の団地再生について取り上げたいとのことで、公社職員が講師として招かれ、2017年に完成した「横浜若葉台みらいづくりプラン」の作成経緯、概要や進捗状況についてご紹介しました。

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世代をつなぎ未来をひらく持続循環型まちづくり「横浜若葉台みらいづくりプラン」

横浜若葉台団地(横浜市旭区)は、開発面積が約90ha、総戸数が約6300戸(分譲・賃貸)という、当公社が開発した団地の中でも最大規模を誇ります。1979年の入居開始から40年以上が経過し、高齢者福祉施設のニーズや子育て・教育環境の充実、商店街の活性化など、さまざまな課題に直面しました。

同様の課題が各団地でも存在し、2013年から当公社は公的な役割として横浜若葉台や相武台団地(相模原市南区)などの大規模団地で「団地再生事業」に着手。国の「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」の採択を受けて、本格的な活性化事業が始動しました。

その団地再生事業の一環として、2016年、横浜若葉台を将来にわたって選ばれつづけるまちとして持続させることを目的に、地域活動団体、学識経験者、行政で構成するマスタープラン策定委員会を発足し、まちづくりの検討が開始されました。

全6回の討議を経て、翌2017年に「まちづくりの指針」として、「横浜若葉台みらいづくりプラン」が策定されました。この「横浜若葉台みらいづくりプラン」は、若葉台に関係する全員が共有し、「オール若葉台」でまちづくりに取り組むために住民主体で独自に定めたマスタープランです。

このプランでは、「世代をつなぎ 未来をひらく 持続循環型まちづくり」という目標のもと、横浜若葉台の魅力と課題を踏まえ、6つの基本方針が定められています。

基本方針

  1. 中心街をエンジンとしてまちの活性化と再編を推進する
  2. 多様な主体により「地域包括子育て」を実現する
  3. 包括的な「安全・安心・健康まちづくり」を実現する
  4. 住環境と公共空間のリノベーション(カスタマイズ)を展開する
  5. 豊かな「若葉台ブランド・ライフスタイル」を構築し、発信する
  6. 総合的なエリアマネジメントを発展的に展開する

これまでこの基本方針を軸に、子供から高齢者まで多世代や障がいのある方などが交流できる施設「Wakka」や孤立しやすい未就学児を持つ親子が集える場「そらまめ」の運営、高齢者向け賃貸住宅や車いす使用者向け賃貸住宅の整備、スマホで予約できるオンデマンドバスや認知機能低下を予防する運動プログラムの実証実験など、さまざまな取り組みが行われてきました。

横浜若葉台Wakka.JPG 横浜若葉台車いす住戸.JPG

また、横浜若葉台団地は1979年に入居が始まってからすでに45年目。長きにわたりお住まいの方もおられ、今では半数以上が高齢者となっています。しかし、興味深いことに、2023年3月末時点での要介護認定率は14.5%に留まり、全国平均の19.4%を大きく下回っています。このような低い要介護認定率は、まちの開発理念やコミュニティの醸成などに起因するさまざま環境、高齢化に対する効果的な対策が取られていることを示しており、WHOをはじめ海外からも多くの視察団が訪れるほどの成功事例となっています。

今回のセミナーでは、1時間という限られた時間の中で、「横浜若葉台みらいづくりプラン」の概要や進捗について、駆け足ではありましたが紹介をさせていただきました。

持続可能な神奈川の住まい・まちづくりを考えるセミナー説明.JPG

セミナーはリアルとオンラインの併用で開催され、リアルでは14名、オンラインでは8名の方が参加されました。講義の後には、参加方法に関係なく、皆さまから多くのご意見やご質問をいただきました。

持続可能な神奈川の住まい・まちづくりを考えるセミナー質問.JPG 持続可能な神奈川の住まい・まちづくりを考えるセミナー回答.JPG

意見交換の中で、「横浜若葉台は分譲住宅と賃貸住宅があるが、住んでいる方々のコミュニケーションに支障はないか?」という質問がありました。横浜若葉台には10の自治会とこれらを束ねる連合自治会があり、お互いに連携・協力をしています。意識の差はあるかもしれませんが、全体としては「横浜若葉台みらいづくりプラン」を軸に同じ方向に向かっています。

また、「基本方針のひとつ『 豊かな「若葉台ブランド・ライフスタイル」を構築し、発信する』に関しては、難しい課題と感じる」というご意見もありました。ありがたいことに、これまでの取り組みによって横浜若葉台の認知が高まり、メディアに取り上げられる機会も増えています。昨年は、フジテレビドラマ「この素晴らしき世界」のロケ地となるなど、メディアを通じて「若葉台ブランド・ライフスタイル」を広く知っていただくことができました。

約1時間にわたる参加者の皆さまからの活発な意見交換や質疑応答を通じて、団地再生の取り組みについての情報共有、そして知見の深化が図られました。主催者からは、「約半世紀に及ぶ取り組みの総集編をご紹介いただき、1時間では説明しきれなかったかと思いますが、お話を聞けてとても参考になりました。団地再生は、周辺地域とともに再構築していくという意識で取り組まないといけないと感じました。今後も先進的な取り組みに期待しています」とのお声をいただきました。

横浜若葉台団地では、人口減少や高齢化の進行、商店街の活性化など、複数の課題が依然として残っています。しかし、地域の賑わいを取り戻すため、イベントの開催、施設の整備、地域コミュニティの活性化など、地域の活動団体、行政、若葉台まちづくりセンター、当公社など、地域全体が一丸となって、これらの課題解決に向けて積極的に取り組んでいます。

横浜若葉台は、住民たちが協力して住みやすい環境を築いてきた歴史があります。個人と地域の絆が希薄になる昨今ですが、年間を通じて開催される数々のイベント、子育て支援などの取り組みがうまく機能し、ここ横浜若葉台をふるさとと感じて進学や就職、ご結婚等で一時的に他の場所に移り住んでも、やはり若葉台が良いと戻ってくる住民の方々もおられるという話を聞くと、コミュニティの大切さを実感せずにはいられません。

今後も進化を続ける横浜若葉台団地。目が離せません!

関連WEBサイト

横浜若葉台みらいづくりプラン
https://wakabadai-kc.or.jp/about/planning_plan/

団地が一つの街に「横浜若葉台」
https://www.kousha-chintai.com/danchi-intro/yokohama/K119801000.php

「誰一人取り残されない」街を目指して。横浜若葉台団地で総務省のスマートシティ推進事業の交付決定式が行われました。(2023.12.22)
https://www.kousha-chintai.com/blog/efforts/post-45.php

関連動画

横浜若葉台取り組み紹介動画

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